皆さんこんにちは。山梨県富士吉田市を拠点に、給排水衛生設備や空調設備工事を手掛ける柏和設備株式会社です。
排水管や水回りの設備について、「なぜ水だけを流す配管に空気の通り道(通気管)が必要なのか」「トイレを流すとゴボゴボと異音が鳴るのはなぜか」など、疑問や不安を抱えている人もいるでしょう。
実は、通気管は配管内の圧力を調整し、悪臭や害虫の侵入を防ぐ「水のフタ(封水)」を守るために、決して欠かすことのできない重要な設備なのです。
この記事では、排水管の通気管の仕組みや必要性から、代表的な通気方式の種類、そして施工時の厳格な設置基準やトラブルの原因までを分かりやすく解説します。
ご自宅の水回りの仕組みを知りたい方はもちろん、論理的な思考が求められる設備屋の仕事に興味がある未経験者や転職希望者も、ぜひ参考にしてみてください。
■通気管の仕組みとなぜ必要か

排水設備において、水だけを流す配管の他に「空気の通り道」である通気管が存在します。ここでは、目に見えない空気と水の関係性から、通気設備が建物全体でどのような機能を持っているのかをわかりやすく解説します。
・水をスムーズに流す役割
建物の中で汚水や雑排水を下水道へ排出する際、管内に水が充満して一気に下へと流れると、内部の圧力が急激に変動します。この圧力の乱れを防ぎ、大気(外の空気)を適切に取り込んで管内の圧力を常に一定に調整する重要な役割を持つのが通気管です。
身近な例として、飲み物が入ったストローの上部を指で塞ぐと水が落ちなくなりますが、指を離して空気を流し込むと勢いよく水が落ちる物理の現象と全く同じです。
配管の一部を外部へ開放し、見えない空気の通り道を常に確保することで、水がスムーズに流れるシステムを実現しています。
・設置しないとどうなるか
もし通気設備を設置しないと、大量の排水が流れる時に管内が強い力で引っ張られ(負圧)、洗面台やトイレの下にある「排水トラップ(S字状などに曲がった配管部分)」に溜まっている水(封水)まで一緒に吸い込まれて無くなってしまいます。
この封水は、下水道からの悪臭や害虫が室内へ侵入するのを防ぐ「水のフタ」としての機能を持っています。通気がなくこのフタが破れてしまうと(破封)、部屋の中に下水の臭気が充満したり、水を流すたびにゴボゴボという異音が発生したりといった不快なトラブルの原因になります。
建物の衛生的で快適な環境を守り、確実な性能を発揮するためにも、通気管による圧力のコントロールは必要不可欠なのです。
■代表的な通気方式の種類

建物やマンションの規模によって、空気を補給するための構造は異なります。現場の設計や用途に合わせて採用される、主要な配管のシステムとそれぞれの特徴を解説します。
・伸頂通気管の働き
マンションなどの複数階建ての建物でよく採用される方式です。最上階から出た排水立て管(縦に伸びるメインの管)のサイズ(管径)を細くせずにそのまま屋上まで伸ばし、先端を大気へ開放します。
屋上の末端には、雨水や鳥、ゴミの侵入を防止するベントキャップを取り付けるのが一般的です。立て管全体に上から下まで空気が通るため、各階から汚水が流入しても管内の圧力変動を抑え、一つひとつの器具の排水トラップの封水を守る機能を持っています。
・ループ通気方式の特徴
複数の洗面台やトイレが横に並んでいるオフィスビルや学校などで使われる方式です。枝管(横に走る配管)に接続された複数の器具の最も下流側から一本の通気管を取り出し、メインの通気立て管へループ状に繋ぐ構造です。
一つひとつの器具すべてに別々の管を設置する(各個通気方式)よりも配管の数を減らせるメリットがあり、全体の流れをスムーズにする設計です。効率的なシステムですが、適切な位置で接続しないと性能が低下するため、正確な計画が必要になります。
・ドルゴ通気弁の仕組み
屋上まで配管を伸ばすのが難しい場所や、リフォームなどで後から通気を確保したい場合に活用される装置です。配管の末端に設置する特殊な弁(バルブ)で、排水が流れて管内が引っ張られた(負圧になった)時だけ弁が開き、内部へ空気を取り込みます。
通常時や圧力が上がった時は弁がぴったりと閉じる構造になっており、下水道からの臭気が部屋の中へ漏れるのを防ぎます。コンパクトで場所を選ばずに設置できますが、本体内部の部品が劣化するため定期的な点検や清掃などのメンテナンスが求められます。
■通気配管の設置基準とルール

通気設備が正しく機能するためには、感覚で繋ぐのではなく、厳格な技術基準に基づいたルールを守って配管を組み立てる必要があります。ここでは、施工現場で重要となる具体的な基準を解説します。
・適切な配管サイズと勾配
空気をスムーズに補給するためには、通気管のサイズ(管径)を排水量に合わせて正しく決定することが重要です。細すぎる管を採用すると、細いストローで息を吸う時のように空気が足りず、配管内の圧力を調整しきれません。
また、通気管の中にも結露した水滴や雨水が発生する可能性があるため、その水が排水管側へ自然に落ちていくように、適切な傾き(勾配)をつけて配管を設置して水溜まりを防ぐ必要があります。
・排水横枝管への接続と45度
横に走るメインの排水管(排水横枝管)から通気管を上へ分岐させる際は、接続する角度に厳密なルールが存在します。具体的には、排水管の水平な中心線から上に向かって「45度以内」の角度で斜め上、または真上に取り出すのが基本です。
もし真横や下の方から通気管を繋いでしまうと、勢いよく流れてきた汚水やゴミが通気管の内部へ流入してしまい、管が詰まって空気の通り道を塞ぐ原因になるため、この角度のルールは厳守されます。
・トイレなど器具との位置
通気管は、接続するトイレや洗面台などの衛生器具との位置関係や高さも計算して設計されます。万が一排水管が詰まった際、通気管を低い位置で繋いでいると、汚水が通気管を通って別の部屋の器具へ逆流する恐れがあります。
これを完全に防止するため、便器や洗面器から水が外へあふれ出るギリギリのライン(あふれ縁)から「150mm以上高い位置」まで通気管を垂直に立ち上げてから、横方向へ接続するという安全な構造が義務付けられています。
■施工時の禁止事項とトラブル

排水や通気設備は、少しの施工ミスが不快な臭気や異音といった大きなトラブルに直結します。ここでは、現場で絶対にやってはいけない配管の禁止事項と、生活の中で発生しやすい問題の原因を解説します。
・配管の上げ下げの禁止
通気配管を設置する際、途中で管を上へ持ち上げたあとに再び下へ向かって下げる「上げ下げ」の構造は厳密に禁止されています。これは、空気中の湿気が結露した水滴や、外部から侵入した雨水が、管の下がった部分に溜まってしまうからです。
庭に水を撒くホースの途中がU字に曲がって水が溜まると空気が通らなくなるのと同じように、管の内部に意図しない水溜まりができることで、通気管としての機能が完全に失われます。
建物全体の確実な性能を確保し、空気をスムーズに流すためにも、水が自然に排出される一定の勾配(傾き)を保つ設計が求められます。
・通気弁から漏れる臭いの原因
ドルゴ通気弁などの装置を室内に設置した場合、「部屋の中が下水臭い」というトラブルが発生するケースがあります。通気弁は通常、汚水が流れて管内の圧力が引っ張られた時だけ弁が開いて空気を吸い込み、普段はピタッと閉じて臭気の逆流を防止するシステムです。
しかし、長年の使用によって内部のゴム部品が劣化したり、ホコリやゴミが弁の隙間に挟まったりすると、フタが完全に閉まらなくなり、下水道の嫌な臭いが部屋の内部へ漏れ出てしまいます。
衛生的な環境を維持するためには、目に見えない配管だけでなく、装置本体の定期的な点検や清掃、または交換といったメンテナンスが欠かせません。
■まとめ
今回は、排水管をスムーズに流すための「通気管」の仕組みや、設置基準について解説しました。ただ水を通すパイプを繋ぐだけでなく、見えない空気の圧力まで計算してシステムを構築することが、私たちの衛生的で快適な生活を守っています。
■柏和設備で「考える力」が身につく一生モノの仕事を

山梨県富士吉田市を拠点とする柏和設備株式会社では、現在一緒に働く現場スタッフを募集しています。
「なぜここに空気の通り道が必要なのか」「どうすればトラップのフタが破れないか」など、水の流れと空気の理屈を考えながら組み立てていくのが、設備屋という仕事の本当の面白さです。
未経験の方にも、先輩職人が「なぜそうするのか」という仕組みから論理的に、そして丁寧に教えるサポート体制が整っています。頭と技術を使う知的でかっこいいプロフェッショナルを目指したい方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。

